ネタバレあり:ATBがコマンドバトルに革命をもたらした『FF4』。セシルやカインらが紡ぐ壮大な物語は、最後はなんと●●まで行っちゃうことでも有名【ピクセルリマスターファイナルファンタジー4】
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『FF』シリーズ黎明期ともいえる『I』~『VI』までをリマスタリングし、現代によみがえらせた名作『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』シリーズ。
何年にも渡って進化してきた過去のシリーズを同時にリマスターし、6作すべて同じクオリティで楽しめる本作から、それぞれの作品をあらためて解説します。
『ピクセルリマスター』シリーズは、1作目~6作目の単発のほか、すべてセットになったバンドル版も発売中。本記事では、ハードが変わってあらゆる面が飛躍的な進化を遂げた『ファイナルファンタジーIV(FF4)』を紹介します。
なお、『ファイナルファンタジーIV』(ピクセルリマスター)は、PC、アプリ、PS4、Switchで楽しめます。今回は、PS4版『FF4』を使っての紹介となります。
※この記事には『ファイナルファンタジーIV』のネタバレが含まれています。
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ハードがSFCに移って大幅進化したシリーズ第4弾!
重厚な物語と革新的なシステムで『FF』は新たなステージへ
『FF4』は、1991年7月19日にスーパーファミコン(SFC)で発売された作品。ファミリーコンピュータ(FC)からハードが変わった初のナンバリングタイトルであり、グラフィック、演出、音楽などあらゆる面が劇的に進化しました。
戦闘は従来のサイドビュー方式ですが、後述するアクティブタイムバトル(ATB)システムが新たに導入され、戦闘全体がリアルタイムに進行するようになりました。このATBはそれまでにない革新的な仕組みであり、以降『FF9』まで採用され、『FF』シリーズの代表的なバトルシステムとして知られています。
過去作の熟練度やジョブチェンジのような特徴的な成長・カスタマイズシステムはなく、キャラクターごとに役割が明確化されているのが特徴。魔法も使用できるキャラクターが決まっており、レベルアップで覚える形式になっています。
主人公を始めとしたパーティメンバーにはあらかじめ名前があり、個性が確立しているのも重要な点。さまざまな性格の登場人物が紡ぐ、出会いと別れ、苦悩と試練の物語はとくに評価が高く、『FF』の新たな一歩を象徴しています。なお、キャラクターの名前はゲーム中で変更することも可能です。
ちなみに、『FF4』はシリーズ作のなかでも移植やリメイクが積極的に行われてきた作品でもあります。本編の十数年後を描いた外伝作品『ファイナルファンタジーIV: ジ・アフターイヤーズ-月の帰還-』も制作されており、ファンの人気の高さがうかがえます。
地上、地底、そして月……。3つの世界で展開する数奇な運命のストーリー
世界屈指の軍事力を持つバロン王国。その精鋭部隊である飛空艇団“赤い翼”が他国からクリスタルを強奪し、帰途につくところから『FF4』は始まります。バロンはいわゆる悪役サイドの国家なのですが、おもしろいのは主人公・セシルがそのバロン所属で、しかも赤い翼を指揮する隊長であること!
もちろん主人公はそんな母国の蛮行に疑念を抱くのですが、それが災いしてバロン王から赤い翼部隊長の座を下ろされることに。代わりに幻獣討伐を命じられたセシルは、竜騎士部隊長である親友のカインと共に旅立つ……というのが本作のプロローグです。
開幕から引き込まれる展開がめじろ押しで、あらためて振り返ってみてもつかみは完璧ですね。
序盤は地上世界を中心にお話が動きますが、ゲームを進めると舞台は地底、そしてゆくゆくは月へと進出します。3つの世界を駆けめぐって展開するストーリーは、かつてない壮大な探求の旅であり、ハードの移り変わりによる進歩をこれでもかと見せつけました。
物語を織りなすキャラクターとの出会いと別れ
『FF4』にはパーティに加わるキャラクターが計12人いますが、主人公以外のメンバーは、シナリオ進行に応じて加入と離脱を繰り返します。最終的にメンバーは固定され、シリーズで最多の5人パーティで戦うことになります。
優しい心を持つ暗黒騎士・セシルを主人公に、彼と親しい間柄であるローザやカイン、召喚士のリディア、エブラーナ国の王子・エッジなど個性的なキャラクターが数多く登場。単に正義を掲げて戦う描写ばかりではなく、裏切りや復讐心に駆られた者の一面なども描かれ、よりドラマチックなストーリーに仕上がっています。
とくに一度加入したメンバーの離脱は平和的でないものが多く、セシルたちの活路を切り開くために仲間が犠牲になるシーンも……。各キャラクターの個性が過去作以上に際立っているからこそ、こうした場面は見ていて涙を誘います。
戦闘がリアルタイムに進行するATBシステム
本作は『FF』シリーズで初めてATB(アクティブタイムバトル)が導入された作品であり、システム面でも大きな転換点だったと言えます。
ATBとは、戦闘シーンが実際の時間経過に応じて進行していくシステムのこと。従来のようにターンごとに全員のコマンドを入力して戦うのではなく、味方も敵も行動可能になったらリアルタイムに行動していくのが最大の特徴です。
ATBはコマンドバトルに革命をもたらしたといっても過言ではなく、これによって味わえるスピード感や緊張感は、多くのプレイヤーを虜にしました。コマンド選択中も敵が容しゃなく攻撃してきますが、“ウェイトモード”に設定すればバトルコマンド選択中は時間が止まるので、じっくり考えながら戦いたい人も安心です。
バトルにリアルタイム要素を入れたことで、時間経過でボスの戦闘モードが変わったり、カウントダウン後に大技を放ったりといった特殊行動も組み込まれるようになりました。また、強力な攻撃には発動まで待機時間が必要になるなど、バトル全体で戦術性が大きく増しています。
ある意味『FF4』で一番有名なキャラクター“カイン”
『FF4』で一番有名なキャラクターといえば、やはり主人公のセシル……ではなくカインだと答える人が多いのではないでしょうか。セシルの親友であるカインは、序盤こそ熱い相棒のように描かれますが、早々に離ればなれになってしまううえ、次に会ったときはなんと敵対関係になってしまいます。
なんだかんだあってその件は和解し、これでひと安心と思いきやゲームを進めていくと……。誇り高き竜騎士のまさかの裏切りに、当時言葉をなくした人は大勢いたと思います。作中でカインが言い放つ「おれは しょうきに もどった!」はシリーズ屈指の名言です。
しかし、ゲーム中でいろいろやらかしているカインですが、プレイヤーから心底嫌われている印象はなく、むしろ愛すべきキャラクターとして扱われている気がします。
親友への嫉妬心からマインドコントロールを受けてしまったという人間臭い一面や、カッコいいセリフとやっていることの違いがおもしろおかしく映り、不思議と憎めない人物なんですよね。根は実直で腕も立つというのが、また嫌いになりにくいポイント。
なにげに『FF4』のタイトルロゴに描かれているのもカインです。あらゆるファクターが奇跡的にかみ合い、主人公以上に注目を集める存在になった男“カイン・ハイウインド”。本作を未プレイの人は、彼の一挙手一投足にご注目を!
シリーズ指折りの名曲の数々も要チェック!
『FF4』の楽曲は前3作に引き続き植松伸夫さんが手掛けていますが、こちらもハードがSFCに変わったことで大幅にパワーアップ。とくにボス戦の曲である“バトル2”、“ゴルベーザ四天王とのバトル”、“最後の闘い”などはシリーズ指折りの人気を誇ります。
また、主にセシルとローザのイベントシーンで流れる“愛のテーマ”は、小学校の音楽の教科書にも採用されているほどで、いかに『FF4』の影響がすさまじかったかを物語っています。
『ピクセルリマスター』では、これらのBGMのアレンジ版(植松伸夫さん完全監修)が流れるほか、設定で原曲と切り替えることが可能。サウンドプレイヤーも搭載されており、ゲーム進行に関係なく最初からすべての曲を聴くことができます。
SFCという新しい舞台で、ストーリーもシステムも極上の進化を遂げた『FF4』。間違いなく『FF』シリーズのなかでターニングポイントとなった作品なので、まだ触れたことがない人は『ピクセルリマスター』でぜひ!!
スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。
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