感想:『MFゴースト』9話で小田原パイクスピーク編が決着! 激アツのブレーキング対決を制したのは誰だ!?

タダツグ
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 今なお熱狂的なファンを持つ名作『頭文字D』の後継作として、満を持して世に送り出された新作アニメ『MFゴースト』。第9話“時速300キロのドッグファイト”が放送されましたので、視聴してみての感想をお届けします。

【注意】ここからは記事の構成上『MFゴースト』の物語に関する記述が多々含まれます。ネタバレが気になる方は本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『MFゴースト』第9話“時速300キロのドッグファイト”感想

 大興奮の第9話! 今回で、予選から8話をかけて描かれてきたMFGの第1戦“小田原パイクスピーク”編が決着しました。サブタイトルからしてたまらんものがありますね……。

 前回、急こう配のダウンヒルである第3セクター、そして霧けぶる“デスエリア”で一気に順位を9位まで上げたカナタとハチロク。しかしラスト直前に待ち受ける“かまぼこストレート”で大気の壁に阻まれ、スピードを思ったように伸ばせず失速。ここでパワーに勝るジャクソン・テイラーのポルシェ・911カレラGTSに、あっさりとオーバーテイクを許してしまいます。

 スリップストリームを利用することさえなく、やすやすとハチロクをかわしていくカレラにはちょっと嫉妬の炎が……。ちくしょう、パワーこそジャスティスってヤツなのか? カナタも諦めることなく、フロントを擦らせるレベルでカレラのスリップストリームに入り、なんとか食らいついていきます。勝負は最後のブレーキングポイントで決まる形に。

 ここは間違いなく小田原パイクスピーク編屈指の名シーン! 実況・田中さんの「曲がれるのか? 曲がってしまうのか!?」という魂のこもった実況に、こちらもテンションぶち上がりまくりでした。ここぞのタイミングでかかるユーロビート、静かに闘争心を燃やすカナタのキメ顔、カナタの勝利を祈るレンちゃんのはかなげな表情など、見どころしかなかった……。

 はたして結果はどうなったのか? 絶対に興奮すること必至なので、未見の方は覚悟を決めて本編をご確認ください。

 今回はハチロクとカナタのドッグファイト以外にも、注目ポイントはもりだくさん。MFGエンジェルスのナンバーセブン(レン)のキスを目指して爆走する相羽 瞬のニッサン・GT-R。タイヤのグリップがまったく残っていない状況で3位争いに生き残るため、赤羽海人のフェラーリ・488GTB、そして坂本雄大のアウディ・R8クーペV10plusと3つ巴のブレーキング勝負に挑みます。まさにカミカゼアタック! 相羽先輩の「バカたれがぁ……」は個人的な大好物です(笑)。

 レース後にカナタになかば無理矢理ハグする北里 望(ヤジキタ兄妹の妹のほう)のキュートな笑顔も印象的でした。しっかりレンに見られてましたところも含めてね……(汗)。ここらへんのアオハル要素も『MFゴースト』には欠かせない部分です。

 何より心を打たれたのは、相羽や緒方との打ち上げに出発する直前に見せたカナタの表情。ハチロクに向けた微かな笑顔に、図らずも少しときめいてしまったわけです……。愛機の健闘を称えるような、そして愛着が深まったかのようなこの表情変化。BGMとしてエンディングテーマの「Stereo Sunset (Prod. AmPm)」のイントロが流れるという演出も、もうホントに憎らしいほどハマっておりまして。カナタにより感情移入してしまった瞬間でした。

『MFゴースト』第9話で印象に残ったセリフはこれ!

 毎度恒例になってきましたが、今回も僕が気に入ったセリフをご紹介させてください。

「俺の想像が正しければ、この86番の走りには現時点では露呈していない重大な欠点があるはず (髙橋 啓介)」

 前回チラ見せ程度に登場した高橋啓介が、今回でいよいよ本格的に登場。『頭文字D』ファンにとっては歓喜の瞬間でしたね。

 ここで気になるのが上記のセリフ。熟練のドライバーである啓介が、カナタのことをしっかり認めつつまだ未完成であることをほのめかすなんて、そりゃ気にならないわけがありません。そばにいた中村賢太(これまた懐かしい!)が、その欠点とはなんなのかを問うものの、啓介は「自分で考えろ」と取り付くシマもなし。いったいどういうことなんだ……。

 これは『頭文字D』ファン視点になるのですが。啓介の兄である高橋涼介が、『頭文字D』の劇中で「ストレートで速い走り屋は初心者。コーナーを極めて中級。上級者ともなれば、ストレートでもコーナーでもない第3のポイントで差をつける。そのポイントを極めることが最速理論のメインテーマ」と口にしていました。

 そして結局この“第3のポイント”がなんなのかは、物語中で語られることがなかったわけで。憶測にすぎませんが、カナタが抱える重大な欠点というのは、もしかしてここらへんに隠されていたりするのかも? 

 MFGのデモ走行でスペシャルなコースレコードをたたき出している啓介(ベッケンバウアーが更新するまで誰にも破れなかったレベル)。しかも、旧車であるマツダ RX-7FDでの偉業ですからね……。今回、そんなFDの雄姿がかなりの時間尺を使って贅沢に描写されていたのも、旧来のファンとしては泣けてくる部分。「空でも飛ぶんか?」ってレベルの異次元走行、めちゃくちゃカッコよかったです。

「トウに入ろうとするクルマからフレンチ・キスをもらうなんて、レース人生で初めての体験だぜ!(ジャクソン・テイラー)」

 こちらはかまぼこストレートでの攻防でのテイラーのセリフ。言葉のとおり、トウ(スリップストリーム)の恩恵を最大限に生かすため、クルマを擦るようにしてカレラの後ろにハチロクをつけたカナタ。そのギリギリのアクションに、さしものテイラーも驚きを隠せない様子でした。

 時速300キロにも及ぶハイスピードバトルで、相手から接触されて焦らないわけがないですよね。軽い接触をフレンチ・キスに喩えるエスプリはさすがといえますが。レース後、カナタをライバルと認めて握手を求めにくるテイラーはなかなかの男前だと思います。

 さて、ついに終わってしまったMFG第1戦。次回第10話のサブタイトルは“アップデート”ということで、ハチロクになんらかのテコ入れが入ることになりそうです。レースの賞金も入りましたしね。はたして、カナタが望むものはなんなのか。馬力を上げてパワーを欲するのか、それとも……? 期待しながら待ちましょう!

 それでは、今回はこのへんで!


©しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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