『スターオーシャン3』はバトルが楽しすぎて時間が無限に溶けていく…。レベル上げにネルの黒鷹旋が最強すぎた思い出【SO3:メモリの無駄づかい】

米澤崇史
公開日時
最終更新

 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ(私)、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PlayStation2で発売されたRPG『スターオーシャン3 Till the End of Time(SO3)』について語らせていただきます。

『スターオーシャン3 Till the End of Time』とは

 本作は、2003年2月27日にエニックス(現・スクウェア・エニックス)から発売された、『スターオーシャン』シリーズのナンバリング第3作にあたる作品です。

 『スターオーシャン』は、ファンタジーとSFが融合した壮大な世界観と、アクション性の高いバトルシステム、膨大なアイテムを作り出せるアイテムクリエイションといったシステムが特徴のシリーズ。人気の火付け役となったのは、PlayStationで発売された『スターオーシャン セカンドストーリー』で、11月2日に発売されたばかりのリメイク版『スターオーシャン セカンドストーリー R』をプレイ中の人も多いでしょう。

 筆者も『セカンドストーリー』をきっかけに『スターオーシャン』シリーズのファンになった一人で、続編である『3』の発売を今か今かと心待ちにしていたのを覚えています。

 なお、『3』発売から1年後の2004年1月22日には、新仲間キャラクターなどの追加要素にバランス調整をほどこしたディレクターズカット版も発売されており、現在配信されているHDリマスター版は、こちらが元になっています。

爽快なアクション操作と3すくみによる読みあいが融合したバトル【スターオーシャン3 Till the End of Time】

 そんな本作をプレイした時、とにかく衝撃的だったのが、バトルシステムの完成度の高さです。

当時のアクションRPGとしては珍しい、3すくみの要素を盛り込んでいたのが特徴で、小攻撃と大攻撃の2種類のアクションと、Guts(スタミナにあたる要素)が最大の時のみ発動できるプロテクトという3つの要素が存在していました。

 小攻撃は威力が低い分発生が早く、相手の大攻撃のモーションを潰すことができるのですが、プロテクトが発動した場合、カウンターが自動発生して気絶状態に陥ってしまいます。対して、大攻撃は発生が遅いもののプロテクトを破壊できる性質があるので、“小攻撃は大攻撃に強いがプロテクトに弱く、大攻撃はプロテクトに強いが小攻撃に弱い”という相性が作られています。

 ただ力押しで攻撃するだけではなく、一種の格闘ゲーム的な読みあいが発生するのは新鮮でしたし、操作のレスポンスもよく、キャラクターがキビキビとしたアクションで動いてくれる気持ちよさもあり、延々とバトルだけをプレイしても、まったく飽きがきませんでした。

 物語の序盤では、ヴァンガード3号星という惑星に不時着することになるのですが、次の惑星に進まず、チンピラ(ヴァンガード3号星でよく登場するザコ敵)を何時間も倒し続けていたくらい、本作のバトルには夢中になっていましたね。

自分なりのレベル上げ方法を考え出す楽しさ。結果起こったちょっと悲しい思い出も【スターオーシャン3 Till the End of Time】

 また、筆者が夢中でバトルを遊び続けていたのには、“レベル上げが楽しいシステムになっていた”という面もありました。

 本作には、バトル中には敵に攻撃を当てる度に“ヒートアップゲージ”がたまっていき、ゲージが一度最大になるごとに、バトル終了後に獲得できる経験値やお金にボーナスが得られるようになるという仕組みが存在しています。ボーナスは複数効果を重複させることもでき、経験値なら最大3倍まで獲得量を増やすこともできるのですが、操作キャラクターがクリティカル攻撃を受けるか戦闘不能なると、付与されているボーナスがすべて消え、ゼロからゲージを上げ直すことになります。

 当然、できるだけ最大ボーナス状態を持続させて戦いたいのですが、高確率でクリティカルを与えていくる敵も出てくるので、普通に戦うと必ずいつかはゲージを割られてしまいます。

 そんな時に役立ったのが、序盤に加入するネルが修得するバトルスキル“黒鷹旋”(刀をブーメランのように投げつける技)でした。本作のバトルには、“MPが0になっても戦闘不能になる”という敵味方共通の仕様があるのですが、黒鷹旋は遠くから敵に高いMPダメージを与えられる超優秀な技。

 ボーナスが最大になったら、操作キャラをネルに変更し、クリティカルダメージを受けないようひたすら離れたところから黒鷹旋を連発するという、ちょっと姑息なプレイでレベル上げをしていました。(あまりにも便利すぎたためか、黒鷹旋は後に発売されたDC版で射程距離の短縮などの下方修正を受けています。)

 本作はシンボルエンカウント方式で、“HPは高いけどMPは極端に低い”というパラメータの敵も存在します。そういった倒しやすい敵を見つけ出し、できるだけ安全に倒すにはどうすればいいか工夫する、自分なりのレベル上げのスタイルを考えるという遊びもあり、レベル上げがただの作業にならず、その工程自体を楽しめたことを覚えています。

 この方法でレベルを上げすぎたため、筆者は本来のゲームバランスでの体験をしていない面もあるのですが、いろいろな要素を駆使してゲームの進行を楽にするのは、『スターオーシャン』シリーズの伝統でもあるので、ある意味では正しい楽しみ方ができていた気がします。

 ただ1つ、レベルを上げすぎた故に起こった、ちょっと悲しい思い出もありまして……。

 筆者は、本作のヒロインの一人、ソフィア・エスティードに一目惚れしていたのですが、ソフィアは物語のプロローグ後に離脱し、ストーリーの中~終版頃のタイミングまで再加入しないという、まさかの展開が待ち受けていました。その上、ソフィアは加入時のレベルが1で固定されています。

 上記の黒鷹旋を使った過剰なレベル上げを行っていた筆者は、ソフィアと既存のパーティメンバーとのレベル差が開きすぎてしまい、パーティに入れるのを相当躊躇しました(控えメンバーには経験値が入らず、戦闘に参加できるのは3人だけなので、追いつかせるのは結構骨が折れます)。もっとも、そこで一から育成した分、より思い入れが深くはなったのですが。

 これは本作に限らず、RPGをプレイしていれば誰もが一度は経験する“あるある”話ですが、とくに終盤に入ってくるキャラは、やはりパーティのレベルを参照して加入してくれると嬉しいな……と思う次第です。

 とはいえ、それも夢中でレベル上げをしていたからこそであり、本作が名作であることは間違いありません。

 ディレクターズカット版なら現行機でプレイできますし、『スターオーシャン』シリーズの中でも非常に人気が高いタイトルでもあるので、『セカンドストーリー R』や『6』からシリーズに興味を持たれた方にも、是非一度はプレイしていただきたいです。


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。


本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


関連する記事一覧はこちら