感想:『MFゴースト』7話は馬力がモノをいうパワーセクション! レースが動くなかカナタの才能が煌めく

タダツグ
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 今なお熱狂的なファンを持つ名作『頭文字D』の後継作として、満を持して世に送り出された新作アニメ『MFゴースト』。第7話“4号車の男”が放送されましたので、視聴してみての感想をお届けします。

【注意】ここからは記事の構成上『MFゴースト』の物語に関する記述が多々含まれます。ネタバレが気になる方は本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『MFゴースト』第7話“4号車の男”感想

 1週間待ちわびた『MFゴースト』最新話ですが……面白過ぎてあっという間に終わってしまったー! そんなファンの方も多いのではないでしょうか。はい、僕もその1人です。今週は本当にあっという間でした(笑)。

 MFG第1戦となる小田原パイクスピーク、レースはいよいよ2周目へと突入。1周目はタイヤのグリップを温存していたドライバーたちが、いよいよ本格的にコースを攻め始め、順位は目まぐるしく変動していくことになります。これが猛烈に面白い!

 小田原パイクスピークのコースレイアウトは、前半のセクター1、セクター2がパワー勝負の登りコースになっています。このセクションは主人公であるカナタにとってキツすぎなんですよね。過去回の感想でもさんざん書いてきましたが、ハチロクにパワーが足りないのはどうしようもない部分なので。今回は、いかなカナタでも他車から引き離されていくだけでしょう。

 ……なんて思っていた時期が僕にもありました(苦笑)。

 実際のところは、持ち前のテクニックを駆使してストレートで離されてもコーナーで食らいつく胸アツドライビングを見せてくれます、このイケメン主人公。馬力によるハンデをモノともしないその走りには、彼の師匠である藤原拓海を彷彿とさせてくれるものがありました。最高だぜ、カナタ! ここからの猛烈プッシュに期待が高まるってものですね。

 とは言いながら。7話で最もスポットが当たったのはカナタとハチロクではなく、グイグイと順位を上げていくフェラーリ488GTBの赤羽海人だったかな、と。予選こそマシントラブルで下位に甘んじたものの、そのトラブルのおかげで“MFGで早く走るためのコツを掴んだ”という赤羽。その言葉どおり、前を走るクルマを次々とオーバーテイクしていきます。走りにイチイチ華があるというか、カナタやベッケンバウアーにも負けないオーラがあるんですよね、こやつ。悔しいけど……かっけえ!


 もちろん、それ以外のドライバーたちも俄然本気モードでした。前を行くベッケンバウアーになんとか食らいつこうと声を荒げる石神。ランボルギーニという猛牛のパワーをいかんなく発揮し、ライバル視している赤羽をターゲットに定める大石。MFGエンジェルスのナンバーセブン(レンちゃん)のキスを射止めるため、タレてきたタイヤで必死に順位を守る相葉。そのすぐ後ろを寡黙に疾走し、相葉の隙をうかがう坂本など、ドライバーたちの思惑が交錯しまくりでした。

 どうしても『頭文字D』と比べてしまって恐縮なのですが。やはり、この“たくさんのドライバー同士の駆け引き”があるのが『MFゴースト』最大の魅力の1つだなってあらためて思いましたよ。たとえば、相葉のニッサンGT-Rはどうしても失速気味なものの、うまく後続をブロックして相手に抜かれないように立ち回っているわけで。それによって3位集団そのもののペースが落ち、猛追している赤羽のような後続ドライバーにもチャンスが生まれる状況になったり……こんなの面白過ぎるでしょ!

 1対1のドッグファイトがメインだった『頭文字D』とはコンセプトこそ異なりつつ、ドライバー同士の激しい攻防がしっかり描かれていく本作。そりゃあ24分の放送尺があっという間に感じますよ。演出もテンポがいいし、スピード感も最高! 今回、過去イチでクルマの描写が多かったというか、色々なマシンを色々なアングルから眺められたことも大満足でした。エキゾーストとスキール音、そしてユーロビートサウンド……これだけでご飯が食べられます(笑)。

 さておき、レースは次回以降、さらに混沌としてくるのは間違いなさそうかと。カナタにも付け入る隙は十分にありそうですね。期待大!

第7話で印象に残ったセリフはこれ!

 毎度恒例になってきましたが、今回も僕が気に入ったセリフをご紹介させてください。

「頑張ってね、カナタ。カナタが有名になっちゃうのは嫌なんだけど、レンはカナタの夢に寄り添いたいから(西園寺 恋)」

 もう完全に恋する乙女の表情になっているレンちゃん。カナタの夢に寄り添いたいとまで言い切るのがスゴい。猪突猛進気味というか、一歩間違えば重たすぎるセリフではあるかもですが(苦笑)。それだけカナタの父親に対する想いを汲んでくれている証でもあり、彼女のことを応援したくなるってものです。ここまで気持ちが高まっているにも関わらず、カナタに自分の気持ちを伝えられない奥ゆかしさもたまらない。このもどかしい関係が今後どうなっていくのか、目が離せないところです。

「だって、セブンティーンじゃないか……(沢渡光輝)」

 はい。これだけ書いてもまったく伝わりませんね、ごめんなさい。こちらは今回、顔見せ的に登場した“4号車の男”こと、沢渡光輝のセリフです。正確にいうと、上記から始まるナルシストちっくなセリフが僕は好きなんですよ。「俺が心の底から好きなものはこの世に2つしかない。1つは17歳の女の子に身も心もメロメロな時の自分と、そしてもう1つは、ステアリングを握って限界を追い求めているときの自分だ」とか、ここらへんが心の琴線に触れまくりなもので。

 最高にキモくて気になる男ですよ、沢渡。いずれカナタの前に立ちはだかるであろう強敵の予感がします。ファーストインパクトというか、ツカミとしてはこれ以上ないレベルの存在感でした。

 ちなみにBパートでは、京子姐さんとの絡みでレンちゃんが自身の年齢について言及するシーンもありました。高校2年生ということで、レンちゃんも17歳。セブンティーンってやつです。これ、なんだか嫌な予感がしませんか(苦笑)。

「緒方さんに、今いるところよりもっと上の順位でのフィニッシュをプレゼントできると思います(片桐カナタ)」

 最後にご紹介するのは、前を行くヤジキタ兄妹に食らいついているカナタがセコンドブースに居る緒方との会話で口にしたこのセリフ。タイヤグリップ低下を懸念する緒方に、タイヤマネジメントについては英国のドライビングアカデミーで徹底的に訓練を積んできたと自信を覗かせるカナタの言葉が印象的でした。これ、絶対に拓海の教えなんだろうなぁってニヤニヤしっぱなしでした。

 ……もちろん、前を行くヤジキタ兄妹がそう簡単にパスさせてくれるとは思えないので、一体どうなることやら。次週はいよいよコースが下りのセクター3、霧がけぶる“デスエリア”へと突っ込んで行くことになります。今週以上に盛り上がることは間違いなさそうですし、今から待ち遠しくてたまらないです。

 それでは、今回はこのへんで!

©しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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