感想:『MFゴースト』6話で痛感…天才の教え子はやはり天才! 拓海仕込みのテクで激走するカナタに目が釘付け

タダツグ
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 今なお熱狂的なファンを持つ名作『頭文字D』の後継作として、満を持して世に送り出された新作アニメ『MFゴースト』。第6話“悲運のラリースト”が放送されましたので、視聴してみての感想をお届けします。

【注意】ここからは記事の構成上『MFゴースト』の物語に関する記述が多々含まれます。ネタバレが気になる方は本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『MFゴースト』第6話“悲運のラリースト”感想

 マジで面白過ぎる……そうとしか言いようがない6話でした。テンションぶち上がったぁ~。霧に包まれた“デスエリア”から、小田原名物の超ロングな直線“かまぼこストレート”まで、激しいデッドヒートが目白押しのバトル回でしたね。正直見どころがありすぎて、ここで全部をあげてしまうのはとてもムリってものですよ。

 いくつか絞って紹介するとして、まず語っておきたいのは、やっぱり前作『頭文字D』の主人公・藤原拓海の過去、そして現在が明かされる実況・田中さんの解説パートでしょう。

 サブタイトル“悲運のラリースト”とは彼のこと。若干20歳にしてヨーロッパへと渡り、“フライングジャン(直訳:空飛ぶ日本人)”とまで呼ばれ将来を嘱望された天才が、なぜ英国の名門ドライビングスクールで講師となったのか? その真実が語られていきます。

 正直、前作主人公の扱いとしてファンがこの情報をどう捉えるかは難しいところ。なかにはガッカリした方もおられるかもしれません。僕としてもそれは否定できない部分なのですが。拓海が師匠としてドライビングテクニック、そしてレーサーとしての心構えを教えて磨き込んだからこそ、片桐カナタという才能が花開いたと考えたら、それも人生なのかもしれない……今ではそうも考えています。

 もしかすると、拓海のライバルの1人である小柏カイが口にした「今はともかくうれしいです。今も彼が元気でいてくれるなら、それだけで」という言葉が、ひとつの真実なのかもしれないな……と、ね。

 少ししんみりしてしまいましたが、それも序盤まで。“デスエリア”を抜けて、いよいよレースが動き出します。

 激しい戦闘争いを繰り広げる石神のカレラGTとベッケンバウアーのケイマンS。石神がクルマのブレーキング性能に対する自信をのぞかせた瞬間、それをあざ笑うかのようにアウトサイドからパッシングを仕掛けるベッケンバウアーのテクニックには舌を巻くものがあります。2年連続チャンプの石神を完全に格下扱いしているところが、えげつなさを加速させますが……。はたしてこのポルシェ対決を制するのはどちらなのか?

 “かまぼこストレート”でもドラマは盛りだくさん。MFGエンジェルスのナンバーセブン(レン)のキス狙いで表彰台を目指す、カミカゼヤンキー相葉 瞬の激走は、やや複雑な気持ちもあれど応援してしまいましたね。レンのキスはアレですが、やはり国産車であるニッサン GT-Rが海外のスーパーマシンとやり合う姿には魂が揺さぶられます。


 一方、赤羽のフェラーリと大石のランボルギーニというイタリアンマッチョマシン同士のど突きあいも最高。ストレートでは赤羽のドライバーとしてのポテンシャルの高さが浮き彫りになる形でしたが、このあとどうなるものやら。

 もちろん、主人公のカナタもいかんなくそのテクニックを見せつけてくれました。あえて“デスエリア”ではなく、霧を抜けてのなんでもないコーナーでヤジキタ兄妹を抜き去り、実況の小柏カイを唸らせます。拓海の教え子と知ってから急にカナタを持ち上げ始める小柏のことが憎めません(笑)。

 あえてアクセルを抜いて一定の距離を保ち、ハチロクの泣きドコロであるロングストレートでヤジキタ兄妹を前に行かせ、そのスリップストリームに乗るという駆け引きまで! 技術だけでなく、レーサーとしての偏差値の高さもさすがと言えますね。天才の教え子もまた天才……ハイテンションでかかるユーロビートサウンドも手伝い、背筋がゾクゾクするほど盛り上がる瞬間でした。ここからの展開が気になりますね。

 見どころはレースだけにあらず。順位が変動するごとに出番がやってくるMFGエンジェルスたちの働きぶりも、色々な意味で目が離せませんでした。“はみけつ”の真美や“絶対元ヤン”な京子姐さんもいい味出してましたが、やっぱり目を引かれたのは、ナンバーセブンことレンちゃん。

 予選ではカナタがMFGに出走することに感情がついていかず、思わずビンタまでかましてしまった彼女ですが……。今回もキュートでいじらしい部分がしっかりと描かれていましたね。

第6話で印象に残ったセリフはこれ!

 せっかくなので第6話でも、僕が気に入ったセリフをチョイスしておきたいと思います。

「どうした。踏め、石神。そこで踏めないのか? ヨーロッパのレースなら10歳の子どもでもそこでアクセルを踏みぬくぜ!(ベッケンバウアー)」

 アウトサイドから石神のカレラGTを抜きにかかるベッケンバウアーのセリフ。「英才教育が生んだ冷静で冷徹なサイボーグ」というのが小柏のベッケンバウアー評ですが、僕はちょっと解釈が違ってて。もちろんそういう側面が強いことは否定しませんが、涼しい顔をしていながら、心の内には熱いものを秘めていると感じています。

 なんせ、レース中に心の中で対戦相手を煽りまくるし、ディスりまくる(笑)。前を走る石神に対し「何もかも残念」、「反応スピードも動体視力もフィジカルもスピリットも僕から見れば現役ではない」、「その走りには加齢臭がする」などと言い放つ彼は、なんだかんだで逃走本能の塊のように思えるんですよね。

 自分と同等の技術を持つライバルの不在で、MFGで走ること自体にイライラしているようにも見えるベッケンバウアー。彼がカナタという才能と出会うとき、どんなリアクションを見せてくれるのかが楽しみです。まあ、そのためにはハチロクにもう少し戦闘力が必要になりそうですが……(汗)。

「しかし、京子姐さんのプロフィールは去年もおととしも24でしたよね……(カメラマン)」

 シリアスなレース展開とはうって変わって……なコメディパート。気になるドライバーについて聞かれた京子姐さんが「年下には興味ない」とこぼした本音を拾う形で、大喜利のようなナイストークを繰り広げてくれたMFGエンジェルスのカメラマンの言葉回しが絶妙でした。上のセリフだけではちょっと伝わりづらいので、未見の方は本編で確かめてみてください。

「外からだと……? ナメんなッ!(八潮 翔)」

 妹の望に続き、アウトサイドから兄の八潮も抜き去ろうとするカナタ。突然のパッシングに、上の言葉を叫びながら自身もアクセルを踏んで対抗する八潮ですが……。

 このセリフは『頭文字D』に登場した妙義ナイトキッズの中里 毅を彷彿とさせてくれて、ちょっとドキッとしたんですよね。僕は中里好きなもので……(笑)。

 それはさておき、トラクションコントロールシステムについては、レース前にカナタがメカニックの緒方に相談し、あえてオミットした描写がありました。つまりカナタは、このようなレース展開になるであろうこと、およびその際にトラクションコントロールシステムが邪魔になるであろうことまで予見していたことになります。メカニックまで把握したうえでのセッティング要請、マジですごい。

 思えば『頭文字D』の主人公である拓海は、メカニックについて最初はからっきしでしたが、“プロジェクトD”に所属してからはそちらの知識もグングン吸収していることが描写されていました。カナタにもそういった知識を伝授していることは想像に難くありません。ますます燃えて萌えます、この師弟関係!

 ……ということで、天井知らずにヒートアップしていくこの『MFゴースト』。原作を知る身としては、レースが2周目に突入していく来週以降はさらに盛り上がること間違いナシだと確信しています。マジで今から楽しみ! カナタのみならず、さまざまなドライバーたちの人間ドラマに要注目です。それでは、今回はこのへんで!

©しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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